脂質異常症とは｜血液中の脂質バランスが崩れる病気
脂質異常症（旧称：高脂血症）とは、血液中の脂質（コレステロールや中性脂肪）のバランスが崩れた状態を指します。具体的には以下のいずれかが当てはまる場合に診断されます：
- **LDLコレステロール（悪玉コレステロール）**が高い
- **トリグリセライド（中性脂肪）**が高い
- **HDLコレステロール（善玉コレステロール）**が低い
この状態が続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるため、早期の対策が重要です。
脂質異常症の診断基準｜血液検査で数値を確認
脂質異常症は、空腹時血液検査で以下のいずれかを満たした場合に診断されます：
| 項目 | 診断基準 |
|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
| トリグリセライド | 150mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
※1つでも基準を満たしていれば脂質異常症の可能性があります。
脂質異常症の原因｜生活習慣＋遺伝が関係
主な原因
- 高カロリー・高脂肪の食事
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- 過度な飲酒
- ストレス
また、糖尿病・甲状腺疾患・腎臓病などの他の病気に伴って発症する二次性脂質異常症もあります。
家族性高コレステロール血症（FH）とは？
脂質異常症の中でも特に注意が必要なのが、**家族性高コレステロール血症（FH）**です。これは、遺伝的な要因によりLDLコレステロールが極端に高くなる疾患で、放置すると若年で心筋梗塞を起こすリスクがあります。
発症頻度
- 約250人に1人の割合で見られ、日本でも比較的一般的な遺伝病です。
症状と診断のポイント
- **皮膚や腱に黄色腫（脂肪の塊）**が現れることがあります。
- 若年のうちに心血管イベントを起こした家族歴がある場合は要注意。
- 診断には血中LDL値、家族歴、アキレス腱肥厚などを基に評価されます。
脂質異常症の治療法｜食事・運動・薬の3本柱
食事療法
- 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の制限
- オメガ3脂肪酸（青魚）や食物繊維の積極的摂取
- 糖質・アルコールの過剰摂取を控える
運動療法
- 有酸素運動（ウォーキング、ジョギング）を週3～5回
- 体重管理と中性脂肪の低下に効果的
禁煙・飲酒のコントロール
- 喫煙はHDLコレステロールを下げ、動脈硬化を加速させます。
- アルコールもトリグリセライドを上昇させるため、節度ある飲酒を。
脂質異常症の薬物治療
生活習慣の改善だけでは十分に改善しない場合、脂質低下薬の使用が検討されます。
一般的な薬の種類と特徴
| 薬剤名 | 主な作用 |
|---|---|
| スタチン | LDLコレステロールを強力に低下 |
| エゼチミブ | 小腸でのコレステロール吸収を抑制 |
| フィブラート系薬 | 中性脂肪を下げ、HDLを上昇させる |
| EPA製剤 | オメガ3脂肪酸。中性脂肪を抑える |
| PCSK9阻害薬 | 難治性やFHの治療に使われる新しい薬 |
家族性高コレステロール血症（FH）の治療は専門医と連携を
FHは動脈硬化の進行が速いため、LDLコレステロールの厳格なコントロールが必要です。
- 初期治療：スタチン
- 追加療法：エゼチミブ、PCSK9阻害薬
- 生活習慣の徹底的な見直しと、専門医による長期的なフォローが重要です。
✅ まとめ｜脂質異常症は“沈黙の疾患”だからこそ早期対策を
- 自覚症状が少ない脂質異常症は、気づかぬうちに動脈硬化を進行させるリスクがあります。
- 血液検査での定期チェックと、食事・運動・薬による早期対応が将来の心筋梗塞・脳卒中を防ぎます。
- 家族性高コレステロール血症が疑われる方は、早期に専門医を受診しましょう。
🔍 よくある質問（FAQ）
Q. LDLコレステロールはどれくらいが目標ですか？
→ 一般の方で120mg/dL未満、高リスク群では100mg/dL未満、FHでは70mg/dL未満が目標になることがあります。
Q. 食事で改善できますか？
→ 軽度であれば改善可能です。ただし、家族性や高度異常の場合は薬物療法が必要です。
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